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シリーズその8 盛岡 [岩手日報2007年8月11日(土)掲載]

新岩手見聞録歴史と文化に出合う街、どこか懐かしく・・・。
 
盛岡駅長 佐藤 年男さん写真 シリーズその8 盛岡駅長 佐藤 年男さん
  北東北DCが始まって1カ月余が過ぎました。夏休みに入り、またNHKドラマ「どんど晴れ」効果もあり、全国から大勢のお客さまが盛岡にいらしています。
 盛岡は、歴史・文化・伝統のある街。岩手山を仰ぎ、北上川が悠々と流れる光景は素晴らしい。材木町かいわいや、石川啄木をはじめとする先人の足跡に触れられる場所など見所はたくさんあります。地図を片手に思い思いに散策し、盛岡らしさをぜひ肌で感じていただきたいですね。
 麺どころとしても有名です。盛岡三大麺として、わんこそば、じゃじゃ麺もありますが、私自身は盛岡冷麺が好きです。それぞれのお店で特徴がありますから、食べ比べなども楽しめると思いますよ。
 私は、東北新幹線開業の年に岩手に着任したので、今年でちょうど25年になります。故郷の福島県より長く暮らし、今では「岩手人」を自認しています。岩手の良さは何といっても人情味のあるところ。この節目の年、DCを地元の魅力を再認識する絶好の機会ととらえ、大いに発信したいですね。
 盛岡駅は、北東北観光の重要なポイントです。それぞれの目的地に向かい、またお帰りになる起点となります。旅の始まりや終わりに出会うのが私たち駅員です。盛岡、岩手の印象を良いものとして持っていただけるように「気持ち」を込めた応対をしていこうと一同心掛けています。
「来てよかった。また訪れたい」とお客さまが感じ、末永いお付き合いができるようになるのが、私たちの喜びです。
 
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 岩手山を望みながら車体がホームに滑り込む。ここは、盛岡。城下町のたたずまいを残し、川と緑の豊かさが印象的な街だ。駅舎の壁面には、石川啄木による「もりおか」の文字。「ようこそ、おでんした」―。郷土の歌人に迎えられ、旅を始めた。
駅前さんぽ
光原社焙茶工房しゃおしゃん 歩いて約10分の材木町商店街・いーはとーぶアベニュー。宮沢賢治が名付け、彼の童話集を出版したクラフト店「光原社」がある。中庭の一角にある「資料室」は7月に公開したばかり。ゆかりの柳宗悦、芹沢けい介、棟方志功ら巨匠たちの作品・資料が展示されており、その奥深さに心ゆくまで触れることができる。

 個性的な店が立ち並ぶ通りの先に「焙茶工房しゃおしゃん」があった。中国茶に魅せられ、台湾などで焙煎技術を学んだ前田千香子さん(41)が茶葉を販売している。試飲したのはプーアール茶と北限の茶として知られる岩手の気仙茶。手のひらにすっぽりと納まる小さな器で香りを聞き、そして口に含む。二煎目、三煎目…、味わいの変化がなんとも楽しい。「お茶を通していろんな学びや出会いの機会をいただきました」。前田さんとの語らいに、くつろぎのひとときを過ごした。

旨いもん発見 県公会堂・「公会堂多賀」ハヤシライス岩手銀行 市内中心部を流れる中津川沿いにも盛岡ならではの光景が広がる。「もりおか啄木・賢治青春館」は、ロマネスク風の近代洋風建築。周辺には赤レンガ造りの銀行や古い商家、南部鉄器工房などがあり、レトロな雰囲気が町並みにしっくりととけ込んでいる。
 昭和天皇のご成婚を記念して1927年に建てられた県公会堂。地階にあるフランス料理レストラン「公会堂多賀」は創業80周年を迎えた。看板メニューはハヤシライス(1050円)。「1週間以上じっくりと煮詰めたデミグラスソースが、おいしさのベースなんですよ」と三代目の細川磐夫さん(71)が胸を張る。
まきばを満喫
小岩井農場の登録有形文化財 クマイチゴ 岩手山のふもとに広がる小岩井農場へ足を延ばそう。「まきば園」で羊と戯れ、農場内の知られざるスポットを巡るウオーキングツアーに参加。鳥のさえずりを聞きながら軟らかな土を踏む。クマイチゴの赤い実は、やさしい甘さ。少女時代に戻ったように心が弾む。
 116年を数える農場の歴史を見つめてきた建築群も見どころだ。本部事務所や四階倉庫、天然冷蔵庫など9棟が国の登録有形文化財となっている。案内してくれた展示資料館長の野沢裕美さん(35)は、小岩井に生まれ育った女性。“わが家”への誇りが、笑顔と言葉にあふれていた。
旅人のドラマ支えて
四季亭女将・林晶子さん小岩井・一本桜 NHKドラマ「どんど晴れ」に登場する小岩井農場の一本桜を背に、盛岡の奥座敷・つなぎ温泉に向かった。「四季亭」では、遠く沖縄からもロケ地巡りの宿泊客を迎えたという。女将の林晶子さん(55)は「旅行する一人一人に、それぞれのドラマがあります。その思いを、私たちは大切にしたいんです」と、おもてなしの心を
語った。
 歴史と文化が織り成す街は、歩くほど、人と出会うほどに、不思議と懐かしさを増す。時の流れをゆったりと感じられる喜びに満ちた旅路となった。
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