 駅舎を出ると目の前に広がる製鉄所の建物群が鉄のまち・釜石の歩みを物語っている。折しも、「近代製鉄の父」と呼ばれる大島高任が西洋式高炉による出銑に成功して今年で150周年。駅前に建つ高任の像もどこか誇らしげだ。
まずは「鉄の歴史館」へ。釜石湾を望む高台に建つ同館で
は、鉄と釜石のかかわりを模型や資料などで紹介している。近代日本の発展を支えた鉄鋼業に情熱を注いだ先人たちの熱い思いが伝わってきた。 |
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駅のすぐそばにあるサン・フィッシュ釜石は、全国的にも珍しかった橋上市場が移転した施設だ。釜石の山海の幸を取りそろえた商店が並び、市民や観光客のにぎわいが絶えることがない。焼きウニ一つとっても各店の個性があり、味見しながらお好みの一品を探すのも楽しい。店頭に立って50年という菊鶴商店の菊池静子さん(76)は「全国各地から常連さんが来てくれるの。『おばちゃん。元気でね』と声を掛けてくれるのがうれしくてね」と話す。常連さんは旬の味覚だけではなく、その笑顔に会うために釜石を訪れるのだろう。 |
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潮の香りに誘われるように海の方へと足を向けた。乗り込んだ双胴型高速船の「観光船はまゆり」は、時速約40kmのスピードで海面を疾走する。お供してくれるウミネコの群れも、船の速さに付いてくるのが大変そう。
ただ一人の船内ガイドの千葉まき子さん(55)は、夏の繁忙期には1日5回船に乗り、変化に富む海岸線の魅力を観光客に伝えている。「今の時期は岩場に咲くハマユリがきれいです。ビールを飲みながら夜景を楽しむナイトクルーズもお薦めですよ」 |
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JR釜石線で、遠野市へと足を延ばした。
昼食に選んだのは遠野食肉センターのジンギスカン。新鮮で柔らかな生ラム肉と秘伝のタレがマッチし飽きがこない。脂肪が少ないうえ、専用のジンギスカン鍋を使うので余分な油分が取り除かれとてもヘルシーだ。ちなみに、タレは各店それぞれに工夫を凝らしており、そのレシピは門外不出だという。 |
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遠野は全国的に知られた民話の里。とおの昔話村で語り部・菊池玉さん(72)の昔話に耳を傾けた。「昔あったずもな」で始まる物語は、どこか懐かしく、とても温かい。「観光客がどんな話を期待しているのか聞いて昔話を選ぶんですよ。遠くから来られた方にはゆっくり話し、方言が聞き取りやすいようにも心掛けています」。その心遣いも観光客の胸に染み入る。
菊池さんの昔話に出てきたカッパ淵に興味をひかれ土淵地区の常堅寺へ向かった。境内のカッパ狛犬がかわいらしい。寺の脇を流れる、濃い緑に覆われた薄暗い淵にカッパの姿を重ねてみる。この穏やかな小川なら川流れの心配もないだろう。
海風香る三陸から、日本の原風景広がる里へ。郷土の歴史と文化を愛し、未来に伝えようとする人々の思いに触れる旅になった。 |
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