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シリーズその2 一関 [岩手日報2007年6月30日(土)掲載]

新岩手見聞録城下町で文化と歴史に浸るひととき…。
 
一ノ関駅長 赤坂光広さん写真 シリーズその2 一ノ関駅長 赤坂光広さん

 一ノ関駅は岩手の南玄関口であるとともに、平泉や大船渡線沿線への起点でもあり、とてもエリアが広いんですよ。西は栗駒山・須川高原温泉、厳美渓、北は世界遺産登録に向け脚光を浴びている平泉、東は猊鼻渓、南は花と泉の公園など見どころやさまざまな体験ができる場所がたくさんあります。
 一関地方は、一ノ関駅前の大槻三賢人像に象徴されるように蘭方医学の大槻玄沢、儒学の磐渓、辞書「言海」編さんの文彦をはじめ、建部清庵、長沼守敬、千葉胤秀など各分野を極めた人物が数多いんです。名所旧跡のほか、一関市博物館など訪れると「歴史文化の街」に触れられますよ。
 駅周辺の「おすすめ散策コース」としては、大槻三賢人像を見てから西に向かって時計回りに進み、「時の太鼓」跡でもある田村邸裏門跡、旧沼田家武家住宅、世嬉の一酒の民俗文化博物館、ジャズ喫茶「ベイシー」、松栄堂総本店の「梅文庫」(要予約)、田村家の迎賓館跡「浦しま公園」など、歩いて1−2時間で巡れるコースがお薦めです。
 食文化としてはやはり「もち料理」ですね。一関地方はつきたてのおもちでもてなす風習があり、駅前の三彩館ふじせいや世嬉の一などで味わえます。このほか、ごま摺り団子やがんづき、せんべいなど銘菓、食品が多くぜひ味わってみてはいかがですか。
 一ノ関駅としても遠方からのお客さんを「おもてなしの心」でお迎えしようと、新幹線に通じる通路を花で飾ったり、笑顔を絶やさずに声かけをする
 
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建部清庵像写真 一ノ関駅に降り立ち改札を抜けると目の前に建つのが「大槻三賢人」の胸像だ。江戸から明治時代にかけて学術分野で幅広い功績を残した大槻家の3人をはじめ、一関は多くの学者・文人を輩出してきた。城下町・一関の文化と歴史をめぐる旅をスタートさせよう。
駅前さんぽ
イメージ民俗文化博物館写真 駅からまっすぐに伸びる上の橋通りなど市中心部を歩くと、いたる所で一関ゆかりの先人たちに出会える。「一関に過ぎたるもの2つあり、時の太鼓に建部清庵」とうたわれた一関藩医・建部清庵や高平小五郎の像、松尾芭蕉が泊まったとされる二夜庵跡などを眺めながら世嬉の一酒の民俗文化博物館に到着。

 この博物館は大正時代の酒蔵を活用したもので、昔ながらの酒造りの様子を知ることができる。この博物館がユニークなのは「文学の蔵」が併設されているところだ。三好京三さんや中津文彦さんをはじめ、光瀬龍、色川武大、島崎藤村といった作家の資料が展示されている。お酒と文学、薫り立つ2つの文化に酔いしれた。

一関の元気人登場!
お酒の三星 主人・永澤卓さん 博物館の近くに一風変わったお店を見つけた。「お酒の三星」は石造りの倉庫を酒屋店舗に使っている。中に入るとひんやり心地よく、炎天下を歩いた体から汗がひいていく。壁に張られた明治時代から昭和初期にかけてのビール広告ポスターがレトロな雰囲気を醸し出す。店舗内では写真展も常時開催しており、一関市の歩みなどを紹介している。店の主人・永澤卓さんは「都市計画により、古く味わいある建物がなくなってしまった。昔の写真を発掘して、その姿を伝えていきたい」と話す。穴場ならぬ穴倉スポットだ。
旨いもん発見
ふじせいもち膳写真 昼食はやはり一関の伝統食もち料理を、と訪れたのは駅からほど近い「三彩館ふじせい」。「ふじせいもち膳」(1575円)はあんこ、ずんだ、雑煮など9種類のもちが楽しめる。一口サイズにアレンジしているので食べやすく自然とはしが進む。お店を切り盛りする伊藤篤子さんが「もち米をはじめ地元産の素材にこだわっています」と話す自慢の味をお腹いっぱい堪能した。
新奥の細道をたどる
民俗文化博物館写真 駅からまっすぐに伸びる上の橋通りなど市中心部を歩くと、いたる所で一関ゆかりの先人たちに出会える。「一関に過ぎたるもの2つあり、時の太鼓に建部清庵」とうたわれた一関藩医・建部清庵や高平小五郎の像、松尾芭蕉が泊まったとされる二夜庵跡などを眺めながら世嬉の一酒の民俗文化博物館に到着。

毛越寺山門  市中心部を離れ厳美渓に立ち寄った後、一関市博物館に足を運んだ。大槻三賢人や清庵をはじめとする先人の功績紹介や日本刀の原型と言われる舞草刀が展示され、一関地方の文化の奥深さを実感した。 多彩な人材を輩出した背景について同館学芸主査の小岩弘明さんは「一関は南と北の文化が混ざり合うと言われる北緯39度ラインに位置し、仙台と盛岡の中間地点にあるといった地理性もあるのでは」と解説してくれた。文化と歴史を巡る旅の締めくくりは平泉、まずは毛越寺から。普通の寺院とは趣を異にする山門は、旧一関藩主田村家の屋敷門を移築したものだ。中尊寺周辺の散策路をぶらぶらと歩いた。咲き誇るニッコウキスゲ。苔むす道には 初夏の木漏れ日。松尾芭蕉ならずとも一句ひねりたい気分になる。月見坂を上りたどり ついた金色堂は、世界遺産登録を目指すちまたの熱気とは無縁に、ただ静かな光をたたえていた。
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